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ド熱い想い

田辺 聖子の残花亭日暦

気張らんと まあぼちぼちに いきまひょか
著者であるおせいさんのユーモアに包まれた喜怒哀楽がしみじみと心に染みいる佳作。

38年間の人生を共にした「かもかのおっちゃん」に、1年かけてゆっくりと別れを告げる日々を、折々の出来事や考えたことを織り交ぜながら書き留めた飾らぬ心情の吐露が凝縮されています。愛する人を失うことはとても辛いことですが、その死が突然ではなく時間をかけてゆっくりと訪れることによって、残される本人が少しずつ少しずつ、その死を受け入れていく様が心を打ちます。おせいさんの好きな川柳「遠き人を北斗の杓で掬わんか」に込められた思いのなんと愛情深いことか。

折々に挿入されている神戸や大阪の昭和時代の歴史、源氏物語や百人一首に関する一言一言がとても素敵です。私が小中学生時代の週末のサイクリングの集合地点としていた大阪城公園の〈教育塔〉が、昭和9年の室戸台風で犠牲になった教師・児童の慰霊をきっかけとして建てられた事なども、恥ずかしながら本書を読んで初めて知りました。

では皆さん『気張らんと まあぼちぼちに いきまひょか』

あこがれの夫婦
田辺さんの川野さんに向ける深い愛情をひしひしと感じました。ウチもこんな夫婦になれればいいな、こんな風にどちらかがどちらかを見送ることが出来たらいいなと思う本でした。

愛する夫を送る妻・田辺聖子の日記
女流作家・田辺聖子さんが病にたおれた夫を送るまでの日記。と書くと、重ための
介護日記みたいなのかな?と思っちゃうのですが、ユーモアは絶対に欠かさない。
それが、この作家さんの品格だと思う。「かわいそに。ワシは あんたの。味方やで」と
いうのが夫が田辺さんに残した遺言。「守ってあげる」なんていえない世代のご主人にしたら
最高の愛の言葉だ。ご主人の葬儀のときの、田辺さんの作家仲間の弔電や
弔辞がすばらしくて、読んでいて泣けました。そして田辺さんの喪主挨拶も。
このへんの場面は、実際のお葬式について描かれているのに、何かすごい
小説を読んでいるみたいな緊張感がありました。

残花亭日暦



by aqushibuya | 2010-11-02 18:40 | 読書
アラサー主婦が熱く語るよ
by aqushibuya

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